階層的アプローチによる感性指標化技術の高度化

感性指標化技術の高度化に向けて,感性の階層的なモデル化に取り組んでいます.ある対象物に対する人の感性的な反応は,対象物に対して抱くイメージや,その対象物に対する好みの感じ方といった様々なレベルで形成されていると考えられます.本研究では,3次元の形状に対する感性のモデル化を行った研究を発展させて,感性評価から対象の性質を記述する側面と対象への価値的判断を行う側面を別々に抽出し,それらの階層的なモデル化とその有効性の検討を行いました.研究では,3次元の形状に対する「印象」と「選好」を測定する独立した感性評価実験を実施し,「選好」が「印象」から形成される様子をモデル化しました.さらに,対象物の種類や個人ごとにモデル化を行い,それらの違いによって異なるモデルが得られることを確かめました.本研究の成果は,多様な観点で構成される感性評価を階層的なアプローチで整理することの重要性を示唆するとともに,感性評価に対する文脈や個人差の影響を考慮する場合にこのアプローチが有用であることを明らかにしています.

Publications

片平建史・武藤和仁・橋本翔・飛谷謙介・長田典子 (2018). SD法を用いた感性の測定における評価の階層性-EPA構造の評価性因子の多義性に注目して-, 日本感性工学会論文誌, 17(4), 453-463. [PDF]

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