評価データから個人特性を推定する分析アルゴリズムの開発
本研究では, SD法を代表とする手法で得られる, 3相データを分析する新たな分析手法を提案しました. 本研究で提案した分析のフレームでは, 従来は誤差として処理されていた感性の個人差をデータ分析に取り込むことによって, より正確な予測や判断を行うことを目指しています. ここでは, ある個人(A)のある刺激(B)に対する印象は,各刺激の特徴と個人(A)の評価傾向の和で定まると仮定し, それらと負荷行列からなる最小二乗基準を示し, その最適化のアルゴリズムを示しました. 人工データを用いたシミュレーションでは,誤差の強さ,刺激の数,個人の数を変化させたデータセットの分析を行い,負荷行列の再現性を確認し,本手法の妥当性と, 差が大きいデータに対する有用性が示されました. 実データであるテレビ番組の評価データの分析では, 本手法を用いることで解釈可能な解が得られることが示されました. これらのことから, データから一貫した個人差を探索可能であるという本手法の意義が示されました.
Publications
橋本翔・田中一晶・片平建史・長田典子 (2018). 刺激と独立な個人の傾向を考慮した新たな三相データの分析法, 行動計量学, 45(1), 27-38. [PDF]