印象と嗜好の関係性に基づくユーザ分類
プロダクトデザインの目的の一つは,製品がユーザに好感を与えることです.従来好ましさの調査は,ユーザの年齢や性別などの属性ごとに行っていますが,どんな印象の製品が好ましいかは同じ属性内でも個人ごとに異なります.そのため,プロダクトデザインの個別的なニーズに対応した属性によらないユーザ分類が必要です.本研究では,ユーザごとに異なっている「デザインから受ける印象と好ましさとの関係(嗜好特性)」を感性的な評価を測定する実験によって明確化し,嗜好特性に基づいた分類手法を提案しました.生活空間におけるあかり画像を対象にユーザを分類した結果, ユーザはThayerの気分2因子理論の各因子と嗜好との関連が異なる3群に分類されました.Thayerの気分2因子理論とは,気分は緊張度を示す緊張覚醒と活性の度合いを示すエネルギー覚醒からなるという理論であり,今回の分類は心理学的にも正当性があると考えられます(パナソニック株式会社との共同研究).
Publications
浅野太貴・橋本翔・片平建史・長田典子・中村透・上垣百合子 (2016). 印象と嗜好の関係性に基づくユーザ分類, 第18回日本感性工学会大会予稿集, P56.