真珠のCG表現

生産工程における検査・計測システムの構築にあたって,CGやVRによるビジュアルシミュレーション技術がAnalysis by Synthesis(分析による合成)手法として注目されています.本研究では,真珠品質評価シミュレータの中核技術となる,物理モデルに基づいた真珠の生成アルゴリズムを提案しました.真珠が持つ,光源方向に依存しない極めて特徴的な光学現象を説明するために,球体における多重反射を考慮した多層薄膜干渉の物理モデルを構築しました.また生成アルゴリズムは干渉,映り込み,テクスチャの物理的特徴の表現から構成しましたが,これら三要素は,真珠の主要な評価要因である深み感,輝き感,きめ感の三つに対応させました.更に「真珠らしさ」を評定する心理実験により,実物の写真と本手法による生成画像の各部分を比較評価したところ,生成画像が全体像だけでなく,部分的にも真珠らしさを表現できていることが示されました.

Publications

Nagata, N., Dobashi, T., Manabe, Y., Usami, T., & Inokuchi, S. (1997). Modeling and Visualization for a Pearl-Quality Evaluation Simulator. IEEE Trans. Visualization and Computer Graphics, 3(4), 307-315.

長田典子, 宇佐美照夫, 眞鍋佳嗣, 井口征士 (1997). 品質評価のためのビジュアルシミュレーションによる真珠の表現. 電子情報通信学会論文誌(D-II), J80-D-II(1), 206-214.

keyboard_arrow_up