創造性に対する気分の効果の個人間比較
新しいアイデアの発想によって問題解決を行うためには,創造性を発揮することが重要です.創造性には様々な要因の影響があることが知られていますが,その一つに気分が挙げられます.これまで,ポジティブ気分で創造性が促進されるという研究と,ネガティブ気分で促進されるという両方の研究があり,充分な一致が得られていませんでした.我々はその原因の一つとして,気分が創造性に及ぼす影響は,個人差が大きいからではないかと考え,その検証を行いました.創造性を促進する気分の個人差を検討するため,様々な壁の色によって気分を変えて,創造性を測る課題を実施しました.その結果,創造性が高くて課題を比較的苦に思わないような人は,壁の色によって誘導されたポジティブ気分の時に創造性が促進されることが確認されました.この知見は,創造性の高さや抱えている問題をどのように捉えるかによって,創造性を促進するための最適な環境が異なる可能性を示し,壁の色などを選ぶ指針につながることが期待できます.(日本ペイントホールディングス(株)との共同研究)
Publications
寺澤杏奈・猪股健太郎・長田典子・小山俊隆・大串あゆみ(2018). 気分による創造性課題成績への影響の個人差に関する検討, HCGシンポジウム2018予稿集, B-7-2.