真珠の光学シミュレーションを応用したベースメイク素材の開発

真珠の輝きを化粧品(ベースメイク素材)に応用することを目指して,真珠の光学シミュレーション技術を開発した.真珠の魅力はそのなめらかな輝きや奥深い光沢にあり,その輝きは多層層状構造による複雑な光学現象に起因する。我々はまず,真珠の光学現象であるにじみ現象と干渉光現象をシミュレーションし,真珠の輝きを持つ人の顔のCG画像を生成した。次にそれら光学現象を変化させ生成した複数の真珠肌CG画像を215名の女性被験者による主観評価を行ったところ,にじみ現象が合成されているCG画像で比較的高い評価が得られた。またベースメイクとしての「仕上がり感」「肌色の好み」「透明感」が高い評価傾向であった。さらに,真珠の光学現象,主観評価,及び魅力度それぞれにおいて関連性を検討したところ,にじみ現象が主観評価及び魅力度に影響を及ぼすことが示唆された。本研究の結果をもとに,真珠のにじみ現象を模倣した素材開発を行うことができた. CGを用いたビジュアルシミュレーション技術はAnalysis by Synthesis手法として注目されている。この手法は設計・評価の高度化,高精度化のニーズに対応していく上で,また,製品開発の工程の時間と費用の削減からも,今後も重要な一技術になっていくと思われる。(株)ナリス化粧品との共同研究。

keyboard_arrow_up