研究内容
離散数学,最適化理論と,それらの現実世界への応用
グラフ理論,複雑ネットワーク理論に関する研究
点および点の間を結ぶ線分で構成されるシンプルな図形であるグラフというものについて研究している.グラフとは,点の集合と,点と点をつなぐ線分(辺と言う)から構成される図形のことを指す.定義は単純であるが,情報科学の諸問題のみならず現実の様々な問題やシステムをモデル化できる高い能力を持つため,強力なツールとして広く使われている.一方,数学的にも興味深い性質を豊富に含んでいる.このような魅力的なグラフについて研究している.
このグラフによってモデル化できる代表的なものとして,WWWにおけるハイパーリンクで繋がれたドキュメント全体の構造や,インターネットの接続構造,交友関係の構造など,多くの領域に見られるネットワーク構造がある.これら現実の大規模ネットワーク(複雑ネットワーク)は特徴的な性質を共通して持つことが多い.その背景にひそむ原理を見出し,現象を解析すること,さらにそれらを利用して制御や設計などに応用することなどについて研究している.このような興味深い複雑ネットワークに対して,グラフ理論のみならず,確率論など様々な理論を駆使して取り組んでいる.
最適化とアルゴリズムに関する研究
効率的なアルゴリズムとデータ構造は,高速な情報処理を実現するためには必要不可欠であり,コンピュータの計算速度の向上の恩恵を十分に引き出す鍵ともなっている.良いアルゴリズムを設計するためには,問題に内在する数学的構造を巧みに利用することが重要である.現実の様々な問題をモデル化・定式化し,その構造を数理的に解析する研究に加えて,実際に役に立つソリューションを与える研究・開発も行っている.
通信ネットワークに関する研究開発
インターネットの制御に関する研究
特に,P2P(Peer-to-Peer)通信の技術基盤の一つである,IPネットワーク上に仮想的に構成されるオーバーレイネットワークと呼ばれるものの制御方式について研究開発している.さらに,インターネットにおいて,パケットの転送経路を決定したり,適切な容量に制御する方式を研究開発している.
インターネットの設計に関する研究
通信ネットワークは,需要状況に応じて,コストを抑制しつつ必要な信頼性や通信品質を満たすものとして設計されなければならない.特にオーバーレイネットワークを分散システムの観点から設計・制御する方法に関して研究開発している.
インターネットの性能評価に関する研究
インターネット上を流れるデータは膨大であり,その状況をすべてモニタリングすることは非現実的である.しかし,通信品質を高めるためには,ネットワークの状況を把握することが必要不可欠である.本研究室では,サンプリングという方法によって,データの一部分から全体の状況を推定する方法について研究開発している.
コンピュータグラフィクスを利用したシステムの研究開発
複雑ネットワーク解析描画システムの研究開発
現実の大規模ネットワークの様々な特性を高速に解析し,様々な方法で見やすく描画したり,その上でのシミュレーションを実行するための統合システムの研究開発を行っている.
Webナビゲーションシステムの研究開発
Webページを閲覧する際,各種データを解析した結果に基づいて適切なナビゲーションを行うシステムを研究開発している.