「段ボール製造スケジューリング問題のアルゴリズムと
計算の複雑さに関する研究」

2699 松本一輝(茨木研究室)

日本オペレーションズリサーチ学会 学生論文賞受賞)


概要

段ボールは,通常上中下(つまり表中裏)の3種類の紙を貼り合せて作られる.1つの注文では,これら3種類の紙の種類,幅と長さが指定される.これらの注文は,何種類かの標準幅のいずれかに割付けられたのち,対応する3ロール原紙から取り出しつつ連続的に貼り合わせて製造されるが,このとき,ロール原紙の全長の最小化に加え,幅の不整合によって生じる紙の無駄,および製造工程におけるロールの交換手間を最小化することが求められる.本研究では,標準幅への割付を整数計画問題によって行った後,各標準幅における処理順序を求める問題を解く.この問題はNP困難であり,それを解くための近似アルゴリズムを構成した.アルゴリズムは3段階から構成され,まず辞書式順序を考慮した簡単な近似アルゴリズム,次に問題の特殊性を利用した多項式時間の近似アルゴリズム,最後に局所探索に基づくタブー探索アルゴリズムである.