授業科目名:数値計算

氏名:西谷滋人

履修基準年度3年,週2時間2単位,秋学期

講義目的:

種々の分野で計算機をもちいて研究を進めるうえでのレシピとなる数値計算について必要な知識を紹介する.最適化や行列の固有値問題,微分方程式など数値計算の手法が必要となる具体的な問題を導入し,その基礎となるアルゴリズムを簡単な例から理解する.

各回ごとの授業内容:

1.イントロダクション(1)
数値計算の実際の使用例を示す.
2.誤差(1)
数値計算を進めるうえで不可避の誤差や収束性について
3.代数方程式(2)
もっとも基本的な代数方程式を例に,アルゴリズムの相違による収束性や安定性について吟味.
4.関数近似(2)
多項式フィットと数値積分.
5.高速フーリエ変換(1)
画像処理,音声処理などの基本となる高速フーリエ変換について,その基本的な考え方を紹介
6.最適化(2)
局所的な最小値を求める問題のアルゴリズム依存性を吟味.さらに大域的最適化問題解法の焼きなまし法などについて詳述.
7.微分方程式(2)
微分方程式の数値解を求める種々の手法を詳述.特に,直観的に現象を理解するための図の作成を紹介.
8.行列(2)
科学計算では頻繁に用いる大規模な多次元の行列を,高効率で解くルーチンの吟味.
9.乱数(1)
シミュレーションに不可欠な疑似乱数発生のルーチンと乱雑さ,一様性について
10.並列計算(1)
PCクラスターやスカラー型のスーパーコンピュータでの高速化技法.

教科書:

宮下精二『数値計算』(朝倉書店,2002)

授業方法:

講義においては数式処理ソフトMapleをもちいた視覚化を多用する.教科書はFortranで記述されている.Maple, Fortranの基本的な文法は必要に応じて説明するので,特に習熟している必要はない.

参考文献:

水島二郎,柳瀬真一郎『理工学のための数値計算法』(数理工学社,2002)
W. H. Press他『Numerical Recipes in C』(技術評論社,1993)

成績評価方法・基準:3-4回のレポートによって評価をおこなう.

準備学習についての具体的な指示および他の科目との関連:

数値計算演習において,講義で紹介したアルゴリズムをもちいて実際のプログラミング,数値計算をおこない,誤差と安定性についての理解を深める.