授業科目名:ニューマテリアル・デザイン

氏名:西谷滋人

履修基準年度3年,週2時間2単位,春学期

講義目的:

ナノテクを代表とする新奇材料開発において,シミュレーションを用いた設計支援が望まれています.固体材料を量子力学,熱統計力学に基づいて,原子・電子レベルからミクロンオーダーまでのマルチスケールで理解する基礎を講述します.

各回ごとの授業内容:

1.講義概要(1)
種々の固体材料の基礎的な性質と学問分野の関連を解説.
2.数式処理ソフト(Maple)の利用(1)
難しい数学を肩代わりしてくれる数式処理ソフトの簡単な使用法,例を紹介.
3.Schrodinger方程式の導出(2)
量子力学の基礎となるSchrodinger方程式の導出と解法.
4.2原子分子の化学結合(2)
化学結合論の基礎となる2原子分子の電子構造から,共有結合,イオン結合,電気陰性度などを導出.
5.経験的原子間ポテンシャルと電子構造(2)
分子動力学の基礎となる原子間ポテンシャルが電子構造からいかに導かれるかを紹介.
6.Ewald法によるMadelung定数の計算(1)
イオン結合した物質のシミュレーションに不可欠なMadelung定数の計算法を示す.
7.統計熱力学の基礎(3)
有限温度のシミュレーションに不可欠な統計熱力学の基礎的な考え方を導入.
8.組織形成の基礎(phase field法)(1)
種々の複雑形状の発展をシミュレートするphase field法の数理を紹介.

授業方法:

物理現象を難解な数学から理解していくのはとても骨が折れます.コンピュータシミュレーションの視覚化手法を使って,熱力学,量子力学などの「(普通には)見えない対象(もの)を視」ながら,現象をモデル化し理解していく過程を紹介.また,そのような対象にコンピュータがどこまで適用できるかを紹介します.テキストを配付.

参考文献:

David Pettifor著,『分子・固体の結合と構造』(技報堂,1997年).
ハーベイ・ゴールド/ジャン・トボチニク著,『計算物理学入門』(ピアソンエデュケーション,2000年).

成績評価方法・基準:2-3回のレポートによって評価