MultiScale10
マルチスケールシミュレーション入門(担当:西谷)
目標
- メタ学習
- 学習が高等教育で終了する時代は終わった.新しい知識をずっと習得し続けなければならない時代かも.ある意味で社会で生き残るために,効率よく学習する手段を身につけておく必要がある.知識の中身は時代とともに廃れるかもしれないが,知識の修得法は変わらないから.
- 要求される知識の種類?
- タイプすれば5秒で出てくる宣言的知識を覚え込む必要はない.必要なのはGoogle先生の記述を読み解くために必要な基礎的な技芸を身につけておくこと.そのためには,わけのわからない対象を学習するのが一番.ということで,物理を中心とした非宣言的知識の習得を目指す.
- 非宣言的知識の定着
- このような手続き的知識の習得には徹底的な演習が不可欠.徹底的と言うのは,ついて来れない人は容赦なく落とすと言うこと.そうならないための方策も,メタ学習.
演習は苦役か修行か
- スイッチ
- 「スイッチ」を入れさえすればいいのは分かっているが,なかなか入らない.チップ&ダン・ハース兄弟の著作「スイッチ」では,行動を「象」と「象使い」に例えて,対症療法を示している.曰く,保守的な習慣となる「象」を動かすのは,理性的な動機となる「象使い」で,両方をうまく説得できれば,スイッチをいれることが可能というもの.
- しなやかマインドセット
- 知能というのは鍛えれば伸びていくと考えている「しなやかマインドセット」な人は多い.努力しても変わらないし,試験を結果でしか見ない「こちこちマインドセット」な人より伸びる余地がある.ところが,体も鍛えれば伸びるのは分かっているが,とことん鍛える人は少ない.もう少し深いところで自分を信じられないと「どうせ私には才能がない」としてすぐに努力を放棄してしまう.では,どうすればいい??
- 楽で楽しいことしか続かない
- やっぱり「継続は力なり!!」です.では「どうやって(学習を)続けるか?」という問に対する答えは,「楽で楽しいことしか続かない.」というのはみなさんご存知? では,どうやって「嫌なこと」を「楽で楽しいこと」に変えるかはご存知? 根性ではない!
- フロー感
- 目標を変える!? 試験で良い点数を取るのが目標だと,試験の結果でしか自分の知能を判断できない.それよりも知能を修得している過程自身を目標にする.そんなのはなかなか目標にならないと思うかもしれないが,これができる.チクセントミハイのフロー理論では,「技能とチャレンジのぎりぎりの領域に身を置くと集中する」としている.作業と成果の繰り返しの没入感が集中に結びつく.例えば,ゲーム,テニス,あっちむいてほい,タイピングソフト,プログラミング,数学の問題集,黙想,座禅,ランニング,洗濯もんたたみ...
- 試験って結局は暗記?
- 暗記の代わりにすべての資料を持ち込めるようにして試験を受けてみればよい.そうしても問題が解けないことがわかれば,暗記でないと実感できる.試験は結果ではなく,問題をあれこれ考えるフロー感を楽しむため,自分がどれだけフローにひたって演習ができたかを確認するためって考えられない? 勝つためだけに練習する人はいなくって,でも試合があるとがんばれる.試験も同じ.
- そして技能・知識が身につく
- 「役に立つこと,楽しいことをしたい」と思うのが人の性.でも,ある程度の技能を獲得する前には,いかに役に立つか,楽しいかを伝えることは不可能.初めから上からサーブが入ったテニスプレーヤーはいないし,ギターを持ったときから弾ける奴もいない.でもキックサーブは勝つのに役立つし,ミュートができると気持ちよくってかっこいい.演習を苦役と感じるか修行と捉えるかは,「心の持ちよう」と「学習(習得)スキル」しだい.
授業予定
- 数学(Maple)
- 物理(ニュートン方程式,シュレディンガー方程式,微分方程式の数値解,phonon,平衡モンテカルロ)
- プログラミング(オブジェクト脳,Ruby, UML, リファクタリング,デザインパターン)
第1回(9/24) | イントロ | ペアプロ入門,頭を服従させる7つの極意 |
Maple | Maple-Primary(Primary.pdf) | |
第2回(10/1) | Maple-Calculus(Calculus.pdf) | |
第3回(10/8) | Maple-LA(LA.pdf) | |
第4回(10/15) | Maple-EqManip(EqManip.pdf) | |
第5回(10/22) | Maple-Programming(Programming.pdf) | |
プログラミング総合課題(おまけ)(TowerOfHanoi.pdf, TravelingSalesmanProblem.pdf) | ||
第6回(10/29) | Maple-Examination | こんなん(Exam10-1.pdf,Exam10-2.pdf) |
第7回(11/5) | 休講,自習しといてねMaple-CG(CG.pdf) | |
第8回(11/12) | 物理 | ニュートン方程式による太陽系シミュレーション(SolarSystem.pdf) |
第9回(11/19) | シュレディンガー方程式の調和振動子解 | |
第10回(11/26) | アインシュタイン結晶の解析解 | |
第11回(12/3) | 平衡モンテカルロシミュレーション | たぶんレポート |
第12回(12/10) | Ruby | Ruby基礎 |
第13回(12/17) | Rubyクラス+リファクタリング | |
第14回(1/7) | Ruby-Examination | 未定 |
第15回(1/14) | 未定 |
知識の定着手法
- ファイリング
- 知識の定着にはいくつもの方策があるが,場所の記憶がもっとも基本.やり方は忘れたけど,何処に書いてあったかは覚えているもの.あるいは,HPでなにをクリックしたかは忘れたが,そこらにあったボタンを押したのは覚えているはず.これは生存本能,どこでのどを潤したかとか,どこでトラに出会ったかとか,に根ざしている.ある程度の量を定着する具体策は,ファイリングがよい.PC上のデスクトップもファイリングという定着法をメタファー化しているだけ.コツは,「きっちり」すること.きれいにしておくと後で見たくなるもの.そうするうちに,単語は忘れても意外と場所は覚えているということを実感できるはずなんですが....
- 忘れるためにノートを取る
- 落書きは意外と印象に残る
- 繰り返し
- 忘却曲線を止めるには,繰り返しが一番.しかし,単調な繰り返しでは飽きてしまう.
- active learningの基本
- 時間管理
- 短期集中
- 方法記憶の最もすすんだカリキュラムは自動車教習.最低限の知識を確実に身につけるのにはこれにならうのが一番.期間としては,ひと月程度の短期集中がいいことがわかる.それ以上かかると最初を忘れてしまうし,それ以上短いと定着しない.逆にその程度のまとまりに知識を細切れにすることも方策.
成績評価
- Maple, Rubyの試験(2回)と物理のレポート
- Mapleではペアでの成績分配を実施.
- ペアを組んでその合算が持ち点.
- 毎回の課題にパートナーチェック(PartnerCheckSheet4.pdf)を実施.
- 分担度合いの合計によって持ち点を配分.
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References:[LectureNotes]