KnowledgeConstruction(I)

学習の目標はナニ?

メタ学習
学習が高等教育で終了する時代は終わった.新しい知識をずっと習得し続けなければならない時代かも.ある意味で社会で生き残るために,効率よく学習する手段を身につけておく必要がある.知識の中身は時代とともに廃れるかもしれないが,知識の修得法は変わらないから.
要求される知識の種類?
タイプすれば5秒で出てくる宣言的知識を覚え込む必要はない.必要なのはGoogle先生の記述を読み解くために必要な基礎的な技芸を身につけておくこと.そのためには,わけのわからない対象を学習するのが一番.ということで,物理を中心とした非宣言的知識の習得を目指す.
非宣言的知識の定着
このような手続き的知識の習得には徹底的な演習が不可欠.徹底的と言うのは,ついて来れない人は容赦なく落とすと言うこと.そうならないための方策も,メタ学習.

演習は苦役か修行か

スイッチ
「スイッチ」を入れさえすればいいのは分かっているが,なかなか入らない.チップ&ダン・ハース兄弟の著作「スイッチ」では,行動を「象」と「象使い」に例えて,対症療法を示している[1].曰く,保守的な習慣となる「象」を動かすのは,理性的な動機となる「象使い」で,両方をうまく説得できれば,スイッチをいれることが可能というもの.
しなやかマインドセット
知能というのは鍛えれば伸びていくと考えている「しなやかマインドセット」な人は多い.努力しても変わらないし,試験を結果でしか見ない「こちこちマインドセット」な人より伸びる余地がある.ところが,体も鍛えれば伸びるのは分かっているが,とことん鍛える人は少ない.もう少し深いところで自分を信じられないと「どうせ私には才能がない」としてすぐに努力を放棄してしまう.では,どうすればいい??
楽で楽しいことしか続かない
やっぱり「継続は力なり!!」です.では「どうやって(学習を)続けるか?」という問に対する答えは,「楽で楽しいことしか続かない.」というのはみなさんご存知? では,どうやって「嫌なこと」を「楽で楽しいこと」に変えるかはご存知? 根性ではない!
フロー感
目標を変える!? 試験で良い点数を取るのが目標だと,試験の結果でしか自分の知能を判断できない.それよりも知能を修得している過程自身を目標にする.そんなのはなかなか目標にならないと思うかもしれないが,これができる.チクセントミハイのフロー理論では,「技能とチャレンジのぎりぎりの領域に身を置くと集中する」としている.作業と成果の繰り返しの没入感が集中に結びつく.例えば,ゲーム,テニス,あっちむいてほい,タイピングソフト,プログラミング,数学の問題集,黙想,座禅,ランニング,洗濯もんたたみ...
試験って結局は暗記?
暗記の代わりにすべての資料を持ち込めるようにして試験を受けてみればよい.そうしても問題が解けないことがわかれば,暗記でないと実感できる.試験は結果ではなく,問題をあれこれ考えるフロー感を楽しむため,自分がどれだけフローにひたって演習ができたかを確認するためって考えられない? 勝つためだけに練習する人はいなくって,でも試合があるとがんばれる.試験も同じ.
そして技能・知識が身につく
「役に立つこと,楽しいことをしたい」と思うのが人の性.でも,ある程度の技能を獲得する前には,いかに役に立つか,楽しいかを伝えることは不可能.初めから上からサーブが入ったテニスプレーヤーはいないし,ギターを持ったときから弾ける奴もいない.でもキックサーブは勝つのに役立つし,ミュートができると気持ちよくってかっこいい.演習を苦役と感じるか修行と捉えるかは,「心の持ちよう」と「学習(習得)スキル」しだい.

まとめ

山本五十六の言葉に

やってみせ,言って聞かせて,させてみて,ほめてやらねば,人は動かじ.

というのがあります.西谷@関西学院大・理工の言葉は,

興味のあることしか覚えない.
楽で楽しいことしか続かない.
うまくやれることしかやらない.

です.どうすれば「興味を持って,楽で楽しく,うまく」やれるようになるかを身につけてください.

参考文献

  1. 「スイッチ!」,チップ・ハース (著), ダン・ハース (著), 千葉敏生訳,早川書房 (2010/8/6)
Last modified:2016/07/19 12:42:17
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