研究内容紹介                      >English


fMRIによる共感覚現象の脳機能解析

 「音を聴くと,色が見える」という現象は色聴と呼ばれており, 共感覚の一種です.こうした現象は,人間の知覚特性や感覚モダリティ 間の関係を明らかにする上で重要な手がかりになると期待されます. 本研究では,色聴保持者に対して音楽を呈示した時に,色知覚領域で 実際に活動が生じているかどうかをfMRIを用いて計測します.
 実験では,協力者に対して調の違う音楽8曲と ビープ音とを呈示しました.分析は SPM99というソフトを用いて行い,音楽とビープ音とを聞いている時の脳活動の差を求めたところ,色知覚に関与するといわれている V4,V8などの領域において,色聴保持者のみに有意な活動が確認されました. この結果により,色聴保持者は音楽を聴いている時に実際に色を知覚 していると考えられます.またこのときの活動部位は,これまでに知られていなかった新たなV4連合領域(V4,V8,V4v)であることがわかり ました.



−高橋理宇眞・藤澤隆史・長田典子・杉尾武志・井口征士 (2006). fMRIによる共感覚の計測−色聴者の音楽聴取時の脳活動−. 情報処理学会研究報告2006-MUS-66, 2006(90), 105-108. (PDF)

 
 
 

音楽と映像のインタラクション

 音楽と映像がどのように影響しあっているかを分析することで、 よりよいメディアコンテンツの制作が可能になります.テレビCMにおける色や音の要素の分析を約170種類のCMに関して行いました. 音楽・映像それぞれにおいて、T軸が「激しい−落ち着いた」を表す軸、U軸が「日常的−高級感」を表す軸であるという結果が得られました.また色について、 U軸方向に「ビビッドな色−モノトーン」が分布したり、音についても、I軸方向に音階(キー)が規則的に分布するなど、音楽や映像がCMのイメージと深く関わっていることもわかりました. これらの分析結果をもとにマルチメディア作品の創作支援システムの作成、CM採点ツールなどに応用展開していきます.