学部生向け研究室案内 (For Undergraduates)
高橋 和子研究室 (数理論理学に基づく知識情報処理)
研究室案内(2022年12月19日掲載)
一言で言うと,「かしこいコンピュータ」をつくるための基礎研究をやっています.
人間のする知的振舞いをコンピュータにさせるために,
対象となる問題を自分の意図にあった形式で表現してそれをコンピュータが「理解」し,
推論規則を使って自動的に高速に無駄なく解く,という方法がとられます.
「かしこいコンピュータ」をつくるためには,他にも方法はありますが,
当研究室では代数や論理を使ったアプローチをとっています.
これによって,どんな場合でも間違いなく正しい結果が得られることが保証されます.
現在の具体的な研究テーマは大きく分けて以下の3つですが,
これ以外のものも拒絶するわけではなく,希望があれば相談にのります.
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定性空間推論
図や画像データを座標系を使わず,形やオブジェクト同士の相対的位置や方向などをもとに
記号の関係で表し,その表現上で推論を行うことで,目的とする計算のみをさせる手法.
記号表現したモデルの正しさの証明,図形の重ね合わせ,ビデオデータからのイベント導出
などを行っている.
応用分野:車の自動走行やロボットナビゲーション,ビデオの高速検索のための自動タグ付けなど.
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議論システム
根拠と主張から成る論証をやりとりしながら,
うちまかし、納得、合意、などが生じる過程を論理的に解き明かす.
議論がすすむと自分の知っている情報が増え新たな発言を生む.
そこから思わぬボロが出ることとも...
最近は,嘘をついたりそれをあばいたりする方法についても考察している.
応用分野:裁判や会議における議論の可視化や矛盾・根拠不足の発見,製品の信頼性向上のための仕組みなど.
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システム検証
システムが設計者の意図通りに正しく動くことを計算機を使って検証する手法.
テストデータによる検証だけでなく,論理式で記述された仕様を
証明支援ツールやモデル検査システムを使って証明することで確実に正しいプログラムを提供する.
応用分野:ネットワークプロトコルの検証,組み込みシステムの動作検証など.
卒業研究
前半は知識情報処理の話題をとりあげた文献や計算科学の教科書的文献などを読み,
基礎知識を身につける.
さらに,論文の書き方,発表方法についても学ぶ.
後半は各自テーマを定めてテーマに関連した最近の論文や解説記事を取り上げ理解を深めるとともに,
システム設計,プログラミング,実験評価,証明等を行う.
領域実習A/B
1) 数理論理学, 知識情報処理関係の教科書か参考書(和書)の輪講.
2) 数理パズル.
3) 研究室のテーマ紹介およびそれに関係する簡単な演習.
4) 文書編集システム LaTeX 演習.
受講者の能力と希望に応じて卒研生や院生のゼミの聴講や議論への参加, LINUX 入門も考慮する.
数理論理学, 離散数理, 知識情報処理,知識情報処理実習の履修を推奨する.
配属を希望する人へ
- 「知識情報処理」「知識情報処理演習」「数理論理学」を習得していることを推奨する.
- 論理学や数学的帰納法などに触れるのが好きなこと(少なくとも抵抗がないこと).
- パズルやボードゲームが好きな人は相性がよい.
- プログラミングが苦手/嫌いという人も歓迎.
ただし,コンピュータ「サイエンス」または「ロジック」に興味があることが条件.
- オプション:上の条件が1つも満たされていなくても,
意欲と体力と元気だけは誰にも負けない,と自負する人は歓迎する(委細面談).
Last Updated on December 6, 2021.
Kazuko TAKAHASHI