概要
本研究では定性時空間推論の枠組みを使用して,動画データから切り取った領域
の相対的な位置関係を定性的に表現し,これに基づいてイベントの発生を導出す
る方法について述べる. 対象はサッカーの試合動画とし,導出するイベントはパ
スとシュートとする.動画からフレームごとに切り取られたプレイヤー,ボー
ル,ゴールという各オブジェクトの領域に対し,オブジェクト同士の相対的な位
置関係および方向を簡潔に表す新しい定性表現方法を提案する.そして,この表
現の時系列に対してイベントを定義する.定性時空間表現は数値データではなく
オブジェクト間の関係を記号表現するため,本手法は計算量を減らし,発生する
イベントに対して意味の明確な定義を与えることができる. また,定性表現の列
から定義されたイベントを自動的に導出するプログラムを作成した. 評価実験
として,実際の動画データから得た定性表現の列に対してこのプログラムによっ
てイベントを導出し,目視による判定結果と比較した.その結果,高い確率でイベ
ントが正確に導出できた.
発表論文
``定性時空間推論の枠組みを用いた動画からのイベント推論について,''
人工知能学会第28回全国大会, June, 2013.
"Qualitative Spatio-Temporal Representation
for Event Extraction from Video Data of Football Games,"
IASTED Artificial Intelligence and Applications 2013, pp.325-333,
February, 2014.
``定性時空間表現を使ったサッカーの試合動画からのイベントの導出,''
電子情報通信学会知能ソフトウェア工学研究会,
信学技報 Vol.113, No.475, pp.79-84, March, 2014.