概要
抽象議論モデルの枠組みは,論証とそれらの間の攻撃関係で定義され,グラフで表現され
ることが多い.論証は根拠と主張の組みとして定義され,これらは攻撃関係とともに論理
式で記述できる.現実的な議論を扱うためには論証が起こる理由を説明する必要があるが,
多くの枠組みでは論証の内容にまで踏み込まず,シミュレーションや意味論の考察をグラ
フ上の話に還元しているため,論証が起こる理由を説明するには弱い.本研究では,論拠
から相手の推論過程を探り,より踏み込んだ現実的議論の表現を可能にする議論と質問を
合わせたモデルを提案する.このモデルでは,反論の余地があるにもかかわらず反論がで
きない場合,質問をすることで相手に論証の根拠の提示をうながし,新たに情報を得るこ
とによって反論を続けることができる.それによって水掛け論のようになってしまう議論
にも決着をつけることができる.
発表論文
``動的議論システムの意味論的考察,''
情報処理学会研究報告: 知能システム,
Vol.2011-ICS-163, March, 2011.
``A Semantics for Dynamic Argumentation Frameworks,''
Eighth International Workshop on Argumentation in Multi-Agent Systems
(ArgMAS 2011), pp.115-132, May, 2011.
``質問を含む議論モデルの提案,''
日本ソフトウェア科学会第28回大会, September, 2011.
``An Argumentation Model with Queries ,''
Ninth European Workshop on Multi-Agent Systems
(EUMAS11), November, 2011.