学部生向け研究室案内 (For Undergraduates)
高橋 和子研究室 (数理論理学に基づく知識情報処理)
研究室案内(2024年11月6日掲載, 2024年12月6日リンク切を修正)
レコーディング画面は
こちら
パスコード Y7dV.q5N
(映像開始後0:40秒ぐらいから紹介が始まります.)
一言で言うと,「かしこいコンピュータ」をつくるための基礎研究をやっています.
生成AI分野で一般に使われるニューラルネットによるアプローチではなく,
記号処理による人工知能(symbolic AI)によるアプローチです.
symbolic AI では代数や論理をベースとした知識の表現,推論を行うので,
結果を得るまでの過程やその根拠などが明確に示され,
与えた条件を満たせばどんな場合でも間違いなく正しい結果が得られることが保証されます.
現在の具体的な研究テーマは大きく分けて以下の3つですが,
これ以外のものも拒絶するわけではなく,希望があれば相談にのります.
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定性空間推論
図や画像データを座標系を使わず,形やオブジェクト同士の相対的位置や方向などの関係を
記号で表し,その表現上で推論を行うことで,目的とする計算をさせる手法.
記号表現したモデルの正しさの証明,図形の重ね合わせ,ビデオデータからのイベント導出
などを行っている.
応用分野:地質構造の推測,ロボットナビゲーション,ビデオの高速検索のための自動タグ付けなど.
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システム検証
システムが設計者の意図通りに正しく動くことを計算機を使って検証する手法.
テストデータによる検証だけでなく,論理式で記述された仕様を
証明支援ツールやモデル検査システムを使って証明することで確実に正しいプログラムを提供する.
応用分野:ネットワークプロトコルの検証,組み込みシステムの動作検証,自動運転支援など.
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議論システム
根拠と主張から成る論証をやりとりしながら,
うちまかし,納得,合意,などが生じる過程を論理的に解き明かす.
議論がすすむと自分の知っている情報が増え新たな発言を生む.
そこから思わぬボロが出ることとも...
嘘をついたりそれをあばいたりする方法についても考察している.
応用分野:裁判や会議における議論の可視化や矛盾・根拠不足の発見,製品の信頼性向上のための仕組みなど.
卒業研究
前半は知識情報処理の話題をとりあげた文献や計算科学の教科書的文献などを読み,
基礎知識を身につける.
さらに,論文の書き方,発表方法についても学ぶ.
後半は各自テーマを定めてテーマに関連した最近の論文や解説記事を取り上げ理解を深めるとともに,
システム設計,プログラミング,実験評価,証明等を行う.
領域実習A/B
1) 数理パズル.
2) 研究室のテーマ紹介およびそれに関係する議論や簡単な演習.
3) 文書編集システム LaTeX 演習.
受講者の能力と希望に応じて卒研生や院生のゼミの聴講や議論への参加, Linux 入門も考慮する.
数理論理学, 離散数理, 知識情報処理,知識情報処理実習の履修を推奨する.
配属を検討している人へ
- 「知識情報処理」「知識情報処理演習」「数理論理学」を習得していることを推奨する.
- 論理学や数学的帰納法などに触れるのが好きなこと(少なくとも抵抗がないこと).
- パズルやボードゲームが好きな人は相性がよい.
- プログラミングが苦手/嫌いという人も歓迎.
ただし,コンピュータ「サイエンス」または「ロジック」に興味があることが条件.
- オプション:上の条件が1つも満たされていなくても,
意欲と体力と元気だけは誰にも負けない,と自負する人は歓迎する(委細面談).
Last Updated on December 6, 2024.
Kazuko TAKAHASHI