多賀研・研究ターゲット


高速・広帯域モバイルマルチメディアシステムの実現に向けて

アナログ自動車電話の時代,コンピュータユーザーから「モバイルチャネルは劣悪な情報チャネルであり,とてもデータ通信には向かない」と言われていた.それは通信媒体とする電波を千差万別な生活空間の中で使って通信を行うシステムの根源的な問題であるとも言える.電波という情報伝達媒体はどこにでも広がっていく反面,複雑な伝搬経路を辿った末に,方向・位相・偏波・時間遅延・レベル変動の異なる多数の波が受信点に到達する.そのため通信チャネルには,有線や固定無線のチャネルとは比較にならないほど大きな場所的・時間的な変動が生じ,固定系の情報チャネルと同等の信号伝送性能を実現するのは極めて困難であると考えられていた.

しかしながら,現在のディジタル携帯電話は,そのような通信チャネル特性の克服技術を幾つも積み重ね,また通信回路やCPU,メモリ,電池などのハード技術や情報圧縮技術などのソフト技術の進歩にも支えられ,モバイル・インターネット端末として普及するまでに至っている.モバイル通信は,「ワイヤレス接続」,「移動性」,「即時性」を同時に達成する唯一の通信形態であり,この利便性は他の通信方式では達成できないものである.従って今後もモバイル通信が継続的に発展していくことは疑いのないところである.

一方,モバイル端末におけるマルチメディア情報の利用サービスが一般的になってきつつある今日,更に大容量なデータへの簡単アクセスが期待されてくるのは自然な流れである.しかし,データ伝送を高速化しようとするほど,複雑で激しい時変チャネル応答は再び通信品質に大きな影響をもたらし,新たな克服技術の創造が必要になってくる.モバイル通信におけるチャネル特性は未だ解明されていない部分が多くあり,通信品質の改善や通信容量の増大を図るには,情報伝達媒体である電波の伝搬特性を明らかにすると共に,技術開発に利用できるチャネルモデリングをシステム開発よりも先に行う必要がある.また,電波の出入り口であるアンテナの特性向上は,受信後の信号処理を簡素化する上で効果が高く,従ってモバイル端末におけるアンテナはシステムの完成度をアップするキーデバイスとして非常に重要なものである.

高速・広帯域なモバイルマルチメディアシステムの実現には,様々なアプローチでの研究が必要となってくるが,多賀研究室では,電波という通信媒体の多重波伝搬路内におけるチャネル特性の解明とモデル化,並びにモバイル端末におけるアンテナの構成法(性能評価法,空間・偏波・指向性などの組み合わせ最適化法,小形・広帯域なアンテナ素子の開発,人体効果)を,情報科学として捉え,コンピュータシミュレーションを通して研究を行う.


研究の概要

 モバイルシステムの研究では,アンテナ・電波伝搬・システムの三位一体の研究が重要(*1)であり,多賀研究室ではそれらの境界領域とその周辺技術に関して研究を進めている.また,高速・広帯域モバイルマルチメディアシステムを実現する技術に加えて,モバイルシステムを利用したより良い生活支援サービスの実現も重要と考えており,上記研究領域に「アプリケーション」を含めた研究を行う.



  *1)“アンテナ・電波伝搬・システムの三位一体”の研究哲学は,池上文夫博士が提唱されたものです(信学誌Vol.66, No.3, pp.61-66, March 1983).


高速モバイル通信に関する研究:


研究テーマ【学内向け】


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