C3 除算と計算の誤差

内容

実数計算の誤差
double 型データの int 型変数への代入
整数除算と実数除算
ゼロ除算の防止

0. 準備

今回の演習 C3 用のフォルダ作成
- [マイドキュメント] (= [ライブラリ] → [ドキュメント]) の中に c3 (半角) を作成

1. 実数データの誤差

ほとんどのプログラミング言語では, 「実数データ」といっても有限桁数で計算を行う.
実数を有限の桁数で表現することはできないため, double 型のデータには誤差が生じる可能性がある.

例題 3.1 実数データ x を入力し, x をそのまま小数点以下 30 桁するプログラム ex31.c を作成せよ.

ex31.c
#include <stdio.h> int main(void) { double x; printf("x を入力して下さい: "); scanf("%lf", &x); printf("x = %.30f¥n", x); return 0; }

コンパイルし, 実行してみる

abc12345@KSKS04DT00 ~/
$ cd c3

abc12345@KSKS04DT00 ~/c3
$ gcc ex31.c

abc12345@KSKS04DT00 ~/c3
$ ./a
x を入力して下さい: 0.5
x = 0.500000000000000000000000000000

abc12345@KSKS04DT00 ~/c3
$ ./a
x を入力して下さい: 0.1
x = 0.100000000000000005551115123126

必ずしも理論値とは一致しない

課題 3.1 実数データ x, y をこの順に入力し, z = x / y を計算して z を小数点以下 30 桁するプログラム err.c を作成せよ.

いろいろな x, y について, z の値が正確に出力されるかどうか見てみよ

2. double 型データの int 型変数への代入

double 型データを int 型変数に代入すると, 小数点以下が切り捨てられる

例題 3.2 品物の税抜き価格 (整数値) x を入力し,
消費税が 8% のときの税込み価格 (小数点以下を切り捨てた整数値) y を計算して出力するプログラムを作成せよ.

ex32.c
#include <stdio.h> int main(void) { int x; /* 税抜き価格 / int* y; /* 税込み価格 / printf("税抜き価格 x を入力して下さい: "); scanf("%d", &x); / x (整数値) の読み込み / y = x 1.08; /* 税込み価格の計算 */ printf("税込み価格 y = %d¥n", y); return 0; }

ex32.c

#include <stdio.h>

int main(void)
{
  int x;    /* 税抜き価格 */
  int y;    /* 税込み価格 */

  printf("税抜き価格 x を入力して下さい: "); 
  scanf("%d", &x);     /* x (整数値) の読み込み */

  y = x * 1.08;        /* 税込み価格の計算 */

  printf("税込み価格 y = %d¥n", y);

  return 0;
}

x * 1.08 の計算は double 型で行われる (1.08 が double 型のため)
結果が y に代入される際に整数に変換される (小数点以下が切り捨てられる)

コンパイルと実行の例

(ディレクトリ c3 で)
abc12345@KSKS04DT00 ~/c3
$ gcc ex32.c

abc12345@KSKS04DT00 ~/c3
$ ./a
税抜き価格 x を入力して下さい: 98
税込み価格 y = 105       ← 105.84 が整数化されて 105 になる

課題 3.2 銀行に預金する金額 x 円 (整数値) と年利 r (実数値) を入力すると,
x 円を複利 r で 3 年間預けたときの預金額 y 円 (整数値; 小数点以下は切り捨てる) を出力するプログラム deposit.c を作成せよ.

x 円預けると, 預金額は 1年後には x(1+r) 円, 2年後には x(1+r)² 円になる.
次の結果が得られることを確認してから提出すること.

50000 0.07 → 61252
70000 0.05 → 81033

3. 整数除算と実数除算

整数データの除算には注意が必要

例題 3.3

次は間違ったプログラムである (倍率の小数点以下が切り捨てられる)

ex33.c (間違い)
#include <stdio.h> int main(void) { int n, c; double r; printf("志願者数と定員を入力して下さい: "); scanf("%d %d", &n, &c); r = n / c; /* 間違い (小数以下が切り捨てられる) */ printf("倍率は %.2f¥n", r); return 0; }

ex33.c (間違い)

#include <stdio.h>

int main(void)
{
   int n, c;
   double r;

   printf("志願者数と定員を入力して下さい: "); 
   scanf("%d %d", &n, &c);

   r = n / c;     /* 間違い (小数以下が切り捨てられる) */

   printf("倍率は %.2f¥n", r);

  return 0;
}

実行例

abc12345@KSKS04DT00 ~/
$ ./a
志願者数と定員を入力して下さい: 423 100
倍率は 4  ←おかしい

C 言語では, 整数どおしの除算 (/) は「小数以下切捨て」と定義されているので,
この例のように単純に整数を整数で割ると, 正確な比率を求めることができない.
これを防ぐには, 整数データを実数データに変換する必要がある.
(double) は型を強制的に double 型にする演算で, 「キャスト演算」と呼ばれる.

ex33.c (正解)
#include <stdio.h> int main(void) { int n, c; double r_wrong, r; printf("志願者数と定員を入力して下さい: "); scanf("%d %d", &n, &c); r = (double) n / (double) c; /* 正しい書き方 (丸覚えする) */ printf("倍率は %.2f¥n", r); return 0; }

ex33.c (正解)

#include <stdio.h>

int main(void)
{
   int n, c;
   double r_wrong, r;

   printf("志願者数と定員を入力して下さい: "); 
   scanf("%d %d", &n, &c);

   r = (double) n / (double) c;    /* 正しい書き方 (丸覚えする) */

   printf("倍率は %.2f¥n", r);

  return 0;
}

実行例

abc12345@KSKS04DT00 ~/
$ ./a
志願者数と定員を入力して下さい: 423 100
倍率は 4.23

課題 3.3 n 個のクッキーを m 人の子供に配分するとする. n と m (いずれも整数) を入力し,
子供 1 人あたりに配れるクッキー数の平均値 (小数点以下3桁) と, 同じ数だけ配分した場合に一人あたり何個配れて何個余るか,
を計算して出力するプログラム cookie.c を作成せよ.

次の結果が得られることを確認せよ

n=20, m=6 → 平均 3.333 個, 1人あたり3個配れて2個余る
n=23, m=8 → 平均 2.875 個, 1人あたり2個配れて7個余る

4. ゼロ除算の防止

ゼロで除算や剰余算を行うと, エラーが発生する (プログラムの実行が中断される)

例えば, ex33.c で定員 0 を入力するとエラーとなる

abc12345@KSKS04DT00 ~/
$ ./a
志願者数と定員を入力して下さい: 423 0
Floating point exception (コアダンプ)

プログラムは, ゼロで除算や剰余算が行われないようにする必要がある

if 文

ex33.c (ゼロ除算防止)
#include <stdio.h> int main(void) { int n, c; double r_wrong, r; printf("志願者数と定員を入力して下さい: "); scanf("%d %d", &n, &c); *if ( c!=0 ) { / もし c≠0 であれば /* r = (double) n / (double) c; printf("倍率は %.2f¥n", r); } return 0; }

ex33.c (ゼロ除算防止)

#include <stdio.h>

int main(void)
{
   int n, c;
   double r_wrong, r;

   printf("志願者数と定員を入力して下さい: "); 
   scanf("%d %d", &n, &c);

   if ( c!=0 ) {     /* もし c≠0 であれば */
     r = (double) n / (double) c;
     printf("倍率は %.2f¥n", r);
   }

  return 0;
}

!= は等しくないことを表す
if文に関しては, 次回詳しく学ぶ

課題 3.4 課題3.3 の cookie.c を書き換え, m=0 の場合には計算を行わないようにするプログラム cookie2.c を作成せよ.

レポート課題 C3

プログラム err.c, deposit.c, cookie.c, cookie2.c, を提出せよ.
演習の内容をテキストファイル C3.txt に記述して提出せよ.

下記の枠内をコピーして適宜書き換えよ
Cygwin での実行結果は次の方法でコピー&ペーストできる

Cygwin のウィンドウでコピーしたい部分をマウスで選択し, 右クリックで [Copy] (Ctrl+Insert)
テキストエディタで [貼り付け] (Ctrl+V)

科目名: コンピュータ演習A
課題: C3
番号: 9999
氏名: 関学 太郎
作成: 20oo年oo月oo日

-------------------------------------------------------------
[課題 3.1]
〜を作成した. 
実行結果は下記の通りである.

(Cygwinの実行結果を貼り付ける)

〜で苦労した, 〜を工夫した, 等
-------------------------------------------------------------
([課題 3.2] 以降も同様)
-------------------------------------------------------------
[感想]
(今回の課題に関する感想を書く)
-------------------------------------------------------------