関西学院大学 理工学部 情報科学科 情報理論研究室の(研究内容の)紹介です.

2012年度卒業研究の配属対象者の方へ: 下記の紹介文は以前の研究課題を含んでいます.現在行っている研究内容については,こちら(pdfファイル,教務パスワードで開けます)をご覧下さい.

研究室の概要

当研究室(担当教員: 井坂)では,情報理論(特に誤り訂正符号化・暗号とその応用)について研究を行っています.

携帯電話を利用するとき,以下のようなことが望まれます.
効率がよいこと : メールや画像が短時間で送信・受信できる
信頼性が高いこと: 電波の状態がよくない環境でも通話・データ通信ができる
安全性が高いこと: 盗み見や盗聴,なりすましなどの心配がない

これらを実現するために情報を変換することを符号化と呼びます.また,受信側では変換された情報を元に戻す必要があり,この操作を復号と呼びます. ここで上に示した各性質を実現するために,
データ圧縮のための符号化(情報源符号化)
誤り訂正のための符号化(通信路符号化)
・ 情報を保護するための暗号化
が行われます. 情報理論という分野は, 性能のよい符号化の仕方を検討するとともに,それらの限界を考察 します.中でも誤り訂正のための符号化を中心に研究活動を行って おり,最近では暗号にも興味をもっています.

研究テーマ

卒業研究では以下のようなテーマを扱っています.

高性能誤り訂正符号(ターボ符号・LDPC符号)の研究
通信の信頼性の理論的限界に迫る強力な符号化方式

シャノンが1948年に示した「通信路容量」の概念は,雑音のある通信を用いてどれだけ の情報量を(ほとんど)誤りなく送り届けることができるかを示すものです.しかし, 長年これに迫るような誤り訂正符号化の手法は知られていませんでした.

ところが,最近になって「ターボ符号」や「LDPC符号」と呼ばれる強力な符号化方式が知られるようになりました.これらは,従来,コンパクト・ディスクやDVD,携帯電話などで用いられていた符号を大幅に上回る性能を発揮するため,今後実用化が進んでいくと思われます.

このような符号の構成・解析や,通信方式への応用に関して研究を行っています.





暗号プロトコル
安全な電子選挙や電子オークションを実現する

「金持ちの財産比べ問題」とは以下のようなものです.

A さんが○億円,B さんは×億円を持っている.二人とも自分の財産の額を相手には知られたくないが,どちらの方がより金持ちであるかについてのみ知りたいとき,どのように計算と通信を行えばよいか」

簡単なように見えますが,暗号化の仕方などに工夫をしないと安全な財産比べはできません.

また,電子選挙の投票を自宅のパソコンや携帯電話からできるなら,投票や開票の負担が小さく抑えられます.しかし,

自分の投票内容を他人に知られたくない
・ 投票結果が正しく開票・集計されなければならない
・ 同じ人が二回投票できない
など様々なセキュリティ面の要件が求められます.

このようにプレイヤーの入力を秘密にしたままネットワーク上で計算を行う手順のことを暗号プロトコルと呼びます.効率のよい暗号プロトコルを実現するには,どのような道具が必要となるのか,などについて研究を行っています.



匿名通信方式
メッセージの内容だけでなく,誰と誰が通信しているかについても秘密にする方式

ネットワーク上で盗み見や盗聴を行う人がいるとき,

メッセージの暗号化を行って,その秘密を保つ.
ことが有効です.しかし,電子選挙を行うときや,内部告発のための通信,遠隔治療などをおこなうときには,
誰と誰が通信を行っているか,についても秘密にしたい
場合があります. そこで,送信者と受信者の身元自体を暗号化した上で,適当な通信経路を通してデータが送り届けられる方式を考える必要があります.このような匿名通信方式について,ネットワーク上で障害が生じた場合の対処法,アドホックネットワークでの匿名通信などについて研究をしています.

著作権保護のための鍵管理方式
正当に料金を払っているユーザのみコンテンツを視聴できる仕組みをつくる

インターネットなどを介して,映画や音楽などのコンテンツを配信するとき,

正当に料金を支払っているユーザのみがコンテンツを視聴できる
ようにする必要があります.どうすれば実現できるでしょうか? まず,サービスを受ける可能性のあるユーザに対して,事前に秘密情報を配布しておきます.さらに,
コンテンツを暗号化のためのセッション鍵で暗号化する
そのセッション鍵を正当なユーザのみが復元できるよう変換(暗号化)して,コンテンツと一緒に送る
ことを行う方式が知られています.では,どのような秘密情報をユーザに配布しておくべきでしょうか?

このような,著作権保護のための鍵管理方式について研究しています