従来、金属や半導体などの材料を開発するには、物理や化学を学び、基礎実験から複雑なプロセスまで、長い修行課程が必要でした。しかし、それでは成功体験を味わう前に嫌になってしまいます。当研究室では、数式処理ソフトや視覚化ソフトを活用し、美味しいところを早い時期に摘み食いできるような研究に取り組んでいます。
計算やシミュレーションを使うと、実験では見えない微視的な機構やエネルギー変化を視覚化できるので、新しい研究の方向や製品開発、原理解明につながることがあります。また、実験には時間がかかりますが、計算なら1週間程度で結果を出せるのです。
見えないものを視覚化することは、教育現場でも役立ちます。例えば、ケプラーの法則を小学生に教えるとき、「惑星は太陽を一つの焦点とする楕円軌道上を動きます。これが第一法則です。第二法則は・・・」といった言葉で説明しても、イメージがわかず、次の日には忘れてしまうでしょう。しかし、右のように視覚化した動画を使って説明すれば、簡単に理解できるのです。
小学生に物理の法則を教えるのも、実験で見えない機構をシミュレーションするのも、共通しているのは視覚化によって分かりやすくなるということ。また、1人で進めるのではなく、グループ学習・研究によって知識が定着し、新たな発想が生まれるという点も共通しています。
計算機材料学における、物質の硬さや比熱などを算出する計算は、高校数学を基準としていますが、いきなりその計算を見せても難しいと身構えてしまうでしょう。そこで、それらの物理現象を高校生にも分かるように順を追って視覚化しようとしています。複雑な計算式によって表現される物理現象は、直感的に理解しがたい場合があります。しかし、数値計算ソフトを使えば簡単に計算結果を得られ、視覚化することができるのです。
人が直接「見る」ことのできない現象や事象、あるいは関係性を「見る」ことのできる画像、映像、グラフ、図、表などにすること。
西谷研では、物理学科の金子研との共同研究に取り組み、次世代パワー半導体として注目されているSiC(炭化ケイ素)が、人工ダイヤとおなじ原理で成長していることを解明した。
式の変形を記号のまま扱い、最後に数値として求めない限り、記号のままで結果が表示される。