地震や津波などの大規模災害に備えて最適な避難計画を立てられる!?

ぐらっときた!地震だ!大きいぞっ!津波もくるかも?どうやって逃げる?

システム最適化研究室では・・・アルゴリズムを開発して最速避難計画を立案。ビッグデータ向けのアルゴリズムの開発に関する理論研究を推進しており、その応用にも深い関心を持っています。その一つが津波・地震などの大規模災害に備えるための最速避難計画です。高速アルゴリズムを開発し、近い将来起こり得る南海トラフ地震に備えて、大阪・和歌山の沿岸地域の防災計画立案に寄与しようとしています。(担当教員:加藤直樹教授)

■例えば、こんな研究も行います・・・。

津波や地震などの大規模災害に備えて最速避難計画が求められている。

近年、大規模な自然災害が急増しています。南海トラフ地震も近い将来に発生すると言われており、沿岸地域では巨大な津波に備える必要があります。防災対策は事前/応急/事後の段階に分けられますが、当研究室では、被害を最小化するために、事前対策の中でも特に重要な「避難」の問題に着目した応用研究に取り組んでいます。

多くの自治体で具体的な避難計画を立てていますが、そのポイントは、できるだけ多くの避難対象者が可能な限り速やかかつ安全に、避難場所へと移動できること。これは、まさしく最適化問題です。速やかな避難を実現する経路を求めるのはネットワーク最適化問題であり、避難場所の立地や割り当てを求めるのは最適施設配置問題として考えられます。

不確定要素の多い避難計画問題を高速計算できるアルゴリズムを開発。

しかし避難計画の難しさには、災害の種類・大きさ・場所・時間・季節など災害発生の不確定性に加え、人口分布の不確定性があります。大都市では曜日や時間帯によって人口分布が大きく異なるため非常に多くのシナリオを用意して避難計画を立てる必要があり、高速計算が求められます。そこでビッグデータを扱えるアルゴリズムの開発が重要な意味を持つのです。

組合せ剛性理論は、建築や、たんぱく質の挙動解明に役立つ。

もう一つの応用分野として、建築デザインなどに活かされる組合せ剛性理論があります。これは構造物の安定性についてグラフ理論を用いて議論しようとする分野で、たんぱく質を構成する原子の結合をフレームワークとしてモデル化して挙動解明に役立てることもでき、最終的には、ある病気の発現に関連するたんぱく質の機能の活性化を抑制する薬剤の開発へと利用することが可能となります。

最適な避難経路を見いだす研究で、災害時の犠牲者を最小限に。

災害が起きたとき、避難者は最短経路を通って避難しようとしますが、多くの人が同じルートを使うと渋滞が発生し、かえって避難が遅れる場合があります。そこで、実際の避難経路を道路網を表す「グラフ」というモデルに対応させ、避難者が同じ道に密集しないで、なおかつ最速に避難できるような経路を発見しようとしています。この研究は避難訓練やハザードマップの作成に役立ち、災害時の犠牲者を最小限に抑えられる可能性があるので、大きなやりがいを感じています。

研究のkeywords

最速避難計画

都市道路網をネットワークとして、道路の幅や交差点間の距離、分布する住民の数、避難所の位置、避難所の収容人数などを数学的にモデル化し、ネットワークフローアルゴリズムを用いて、最速の避難スケジュールを求める問題。

ビッグデータ

一般的に用いられるソフトウエアの処理能力を超えたサイズのデータの集まりで、急速に集積されつつある。その中身は、SNSやインターネット上の文書などのデータ、天文学・遺伝子データなどの自然科学分野で集積されたデータなどである。

組合せ剛性理論

2次元平面または3次元空間内の伸び縮みのしない棒材と棒材をつなぐ回転可能なジョイントからなる、2次元または3次元フレームワークが剛堅であるかどうかを組合せ論や離散数学を用いて調べる理論のこと。

もっと詳しく知りたい方は、各研究室のページへ……