




オランダの画家エッシャーのだまし絵を見たことがある人は多いでしょう。エッシャーの作品は、一見、階段などの立体を表しているように見えても、現実的には立体としてあり得ない形をしています。このような図形は、視覚を通して人間がどのように立体を認識するのか、その過程を解明するのに役立ちます。

平面上の図から立体構造を抽出する「画像認識」という情報科学の研究と、人間がどのように立体を認識しているかという「視覚処理過程」の心理的研究、両方の成果を学び、立体を認識する過程を数学的・理論的に説明することをめざしています。

人間は、視覚を通して多くの情報を理解しています。特に、視覚対象の形や構造、位置などを瞬時に知ることが可能です。すなわち視覚とは、情報処理の過程であると言えます。だまし絵を見たときには、脳がだまされ、情報処理に失敗しているということです。この研究の面白さは、普段は無意識で行っていることを分析し、意識的に解析していくところにあると思います。

研究の基礎力を身につける授業として、3年次には「計算幾何学」を開講。計算幾何学とは、多くの図形をコンピュータで処理するためのアルゴリズム(処理手順)の理論です。素朴なアルゴリズムから出発して、改良のアイデアを導き出す過程を説明していきます。
いま「RBC理論による立体解釈ー頂点辞書による試みー」というタイトルで研究に取り組んでいます。RBC理論(recognition-by-components)は、人の対象認識の過程を説明したものです。この理論によると、人は視覚対象を24種類の構成要素の組み合わせによって認識しているとされています。そこで、図を構成要素への分解と認識の過程を頂点辞書を用いて説明しようとしています。

平面に描かれた模様や写真を見て、立体の映像を見いだすこと。
視覚の錯覚を利用した絵・アートのことで、トリックアートや不可能物体も、ほぼ同義。
ある5つの前提のもと、線だけで描かれた絵のこと。与えられた絵が立体の投影図になっているかどうかを判断する「頂点辞書」と照合し、線画の中の線に3種類のラベルをつけていくと、不可能物体かどうか判別することができる。