何かを理解しようとするときその人の脳の中ではどんなことが起こっている?

悩んでいるようだけど、何を考えているのかな?脳を切り拓いて調べてみる?いろいろ聞いてみる?

情報科学教育研究室では・・・コンピュータサイエンスの教育方法を開発。コンピュータは計算のための機械で、人間が作ったプログラムに従って処理することしかできない。例えば音楽や画像を扱う際にも、そのためのプログラムが働いている。プログラムの基礎となるのは計算の手順であるアルゴリズムである。当研究室では、アルゴリズム理解を分析し、その結果に基づいてアルゴリズムの教育方法の開発、アルゴリズムの再評価に取り組む。(担当教員:浅野考平教授)

■例えば、こんな研究も行います・・・。

人間の頭の中で起きている現象である「理解」の仕組みを解明するために。

理解は頭の中で起きる現象であり、直接調べる手段はありません。しかし人は「自分が物事をどのように理解したか」を言葉で説明することはできるので、その言葉を手がかりにして理解のモデルをつくることができます。ただし、もともと言葉として理解しているわけではなく、無意識のうちにさまざまな知識を使っているため、すべてを説明することはできません。

研究では、まず簡単なアルゴリズムを理解して、自分がどのように理解したかを記述。どのような知識をどのように用いているかということまで詳しく説明していきます。さらに研究室での議論を通して、より正確な言葉に直すとともに、無意識に用いている知識を明らかにする。これを繰り返し、具体的なアルゴリズムごとに理解のモデルをつくっていきます。

すべての学生の素直な考えをそのまま研究に活かせる。

自分がどのように理解しているか、正確に言葉で説明することは簡単ではありませんが、自分の力でより正確にしていくことができます。また、理解の仕方は人それぞれ異なるため、すべての学生の言葉が研究の役に立ちます。学生一人ひとりの素直な考えを研究に活かせ、研究の過程で気づいたことや研究成果をすぐに共有することができます。

アルゴリズムの効果的な教育法を開発し、コンピュータサイエンス教育の進歩の一助に

21世紀のコンピュータサイエンスにおける最大の課題の一つは、コンピュータサイエンスの教育にあります。例えば、近年では世界中で義務教育のレベルからCSアンプラグド(コンピュータを用いないコンピュータサイエンスの教育)が試みられています。この中で、アルゴリズムが重要な一部として含まれており、本研究は、その理論的な裏付けや改良に役立つと考えられます。

伝わりやすい授業・教材とは?そんな疑問から、理解の仕組みを研究。

これまで、よく友人たちと一緒に勉強をしましたが、そのとき、同じことでも人によって、理解の仕方が異なること場合があるのが不思議でした。また塾講師をしたときには、わかりやすくしようと絵や図を多く使ったプリントを用意したのに、生徒からも同僚からも不評。では、わかりやすい授業・教材をつくるには、どうすべきなのか?浅野研では、その疑問や迷いを解決するために「理解の仕組み」を理論的に研究し、自分以外の人が「理解しやすく記憶に残りやすい」教え方を追い求めています。

研究のkeywords

アルゴリズム

コンピュータのプログラムにおける計算の手順。コンピュータサイエンスの古典的な研究テーマの一つで、多数のアルゴリズムが開発され、さまざまなプログラムの中に組み込まれている。

理解

アルゴリズムの理解とは、正しく実行できるように記憶すること。しかし、実行する操作が、アルゴリズムの目標を達成するためにどのような意味があるのかわかっていなければ、理解したことにはならない。

トップダウン

アルゴリズムには、達成すべき目標と、それを達成するための具体的な操作の列が与えられている。達成すべき目標(トップ)から、具体的な操作(ボトム)まで、トップダウンの形で記憶していく。

もっと詳しく知りたい方は、各研究室のページへ……