第56回 音楽情報科学研究会 「夏のシンポジウム」開催のご案内


本シンポジウムにおいては,学生の参加費が無料です. 学生の皆さんは奮って研究会にご参加下さい.

日時: 2003年8月2日(月)13:00-17:30,8月3日(火)10:00-16:50
会場: 京都大学会館(京都市左京区)
会場案内図: http://www.kyodaikaikan.jp/

発表時間は質疑討論込みで30分です.
(注意)スケジュールにつきましては変更の可能性があります.

懇親会への参加登録,会場問い合わせ先:奥乃博(京都大学)
E-mail: okuno@i.kyoto-u.ac.jp

プレゼンテーション賞
一位 追加黒鍵をもつ小型鍵盤楽器モバイルクラヴィーアIIの設計と実装
    竹川佳成(大阪大学)
二位 Specmurtにおける最適共通高調波構造パターンの反復推定による多声音楽信号の可視化とMIDI変換
    亀岡弘和(東京大学)


プログラム

8月2日(月)
[13:00〜15:00]音楽分析

(1)GTTMに基づく楽曲構造分析の実装:グルーピング構造と拍節構造の獲得 
    浜中雅俊(日本学術振興会特別研究員PD/産業技術総合研究所)
    平田圭二(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
    東条敏(北陸先端科学技術大学院大学)

    本稿では、音楽理論GTTMに基づき、楽曲のグルーピング構造および拍節構造を
    自動で獲得するシステムについて述べる。従来、階層的なグルーピング・拍節
    構造が得られいなかったのに対し、本手法では階層的な構造の獲得を実現した

(2)部分列エージェントモデルによる楽曲の構造認識
    横山博,平賀譲(筑波大学)

    楽曲を記号列とみなし、部分列を単位として構造の記憶・類似性の判定を
    おこなう、部分列エージェントモデルを提案する。
    入力は、単旋律の演奏情報であり、時刻情報と音高情報が含まれる。
    出力は、楽曲構造を木構造によって表現したものである。

(3)ピアノ演奏における音楽表情と離鍵速度の関係に関する考察
    大島千佳(ATRメディア情報科学研究所
    西本一志(北陸先端科学技術大学院大学/ATRメディア情報科学研究所)
    鈴木雅実(ATRメディア情報科学研究所)

    音楽表情を決定づける要素の1つである離鍵動作について,note off velocity値
    に注目し聴取実験と演奏データの基礎的な分析を行った.note on velocityとの
    特性の違いや再現性について考察した.

(4)ポップス系ドラム演奏の打点時刻及び音量とグルーブ感の関連について
    奥平啓太(関西学院大学/さきがけ研究21)
    平田圭二(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
    片寄晴弘(関西学院大学/さきがけ研究21)

    プロのドラム演奏者に 8 ビートと 16 ビートの演奏パターンを与え,
    異なるグルーブ感を出すように演奏してもらった.
    スネア,ベースドラム,ハイハットの打点時刻と音量を測定し,
    指示したグルーブ感との関連を調べる.


[15:20〜16:20](5)特別企画 若手デモセッション
    モデレータ:浜中雅俊(日本学術振興会特別研究員PD/産業技術総合研究所)

[16:30〜17:30]京都大学 奥乃研究室見学

[18:00〜]懇親会
     カンフォーラ(京都大学正門脇)
     参加費(3000円程度)


8月3日(火)

[10:00〜12:00]音楽音響信号認識(4件)

(6)和音区間検出と和音名同定の相互依存性を解決する和音認識手法
    吉岡 拓也,北原 鉄朗,駒谷 和範,尾形 哲也,奥乃 博 (京都大学)

   本研究の目的は、音楽音響信号から和音進行
   を認識することである。和音認識を構成する
   和音区間検出と和音名同定の間には相互依存
   関係が存在する。我々はこの依存関係に対処
   するために、これらを同時的に処理する手法
   を提案する。

(7)Specmurtにおける最適共通高調波構造パターンの反復推定による多声音楽信号の可視化とMIDI変換
    亀岡弘和,斉藤翔一郎,西本卓也 (東京大学)

    これまで我々はSpecmurtと呼ぶ新しい信号処理手法を提案した。この手法は多重音
    の各音が共通音色をもつことを仮定することで基本周波数強調を可能にする。本報告
    では、sigmoid写像とLU分解により最適な共通高調波構造パターンを反復推定する方
    法を提案する。

(8)単一テンプレート適応法による音楽音響信号を対象としたハイハットシンバルの音源同定
   吉井和佳(京都大学)
   後藤真孝(産業技術総合研究所)
   奥乃博(京都大学)

   本研究では、シンバルの一種であるハイハットの音源同定を扱う.
   我々は以前バスドラムとスネアドラムの音源同定手法を提案した.
   分散型スペクトルを持つシンバル類にも適用可能なように手法を拡張する.

(9)混合音テンプレートを用いた多重奏の音源同定
   北原鉄朗(京都大学)
   後藤真孝(産業技術総合研究所)
   奥乃博(京都大学)

   多重奏を対象とした音源同定においては,認識対象が混合音である
   ので,学習用のテンプレートも混合音から作成することが望ましい.
   本稿では,混合音からのテンプレート作成とそれを用いた多重奏の
   音源同定について報告する.


[13:30〜16:50]音楽生成・システム(5件)+ 全体討議

(10)動的計画法と音列出現確率を用いた対位法の対旋律の自動生成
    中潟昌平,西本卓也,嵯峨山茂樹(東京大学)

   本稿では、対位法に基づき、与えられた定旋律から対旋
   律を自動で生成する手法について検討する。特に等時対
   位法等の単純な対位法に関しては、音程規則のみならず
   音列出現確率を考慮した対旋律が動的計画法を用いて得
   られる事を実験結果例とともに示す。

(11)聴取経験に基づく予測補完型音楽生成アーキテクチャに関する考察
    片寄晴弘,豊田健一 (関西学院大学/さきがけ研究21)

   自動作曲,編曲,パフォーマンスレンダリング等の音楽生成系主要研究を
   聴取経験に基づく予測補完という視点から分類・整理し,それら音楽生成処理を
   統合的に実現するための基本アーキテクチャについて考究する.

(12)感性的セッションを行うエージェントの実現に向けて
    大野孝紘,岡 夏樹(京都工芸繊維大学)

   音楽的インタラクションを行うとき
   エージェントはユーザの感情や意図を読み取ることで
   より適切なリアクションを行える。
   そこで音響情報から確率的推論を行うことで
   演奏者の感情を読み取る方法を提案する。

    休憩(20分)

(13)追加黒鍵をもつ小型鍵盤楽器モバイルクラヴィーアIIの設計と実装
    竹川佳成,寺田 努,塚本昌彦, 西尾章治郎(大阪大学)

    鍵数が少なくても音域の広い楽曲をスムーズに演奏できる小型鍵盤であるモバイルク
    ラヴィーアIIを設計・実装した.モバイルクラヴィーアIIは,鍵数の少なさをカバー
    するため,追加黒鍵を始めとする強力な音域変更機能をもつ.

(14)箏曲譜処理ソフトウェアの開発
    伊藤穣(跡見学園女子大学)

   箏曲の記譜法の一つである縦譜について、Windows上において編集でき、自動演奏や
   MIDIファイルの出力が可能なソフトウェア「箏譜エディター」の開発を行った。
   本ソフトウェアは音楽教育においても有効なツールとなると考える。

(15)全体討議


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